2008年4月8日火曜日

陸路で行くカンビジア・アンコールワットの旅 その4







 梵天の古老 タ・プローム


 バイヨン寺院を一時間ほど見学して、歩いて象のテラス、ライ王のテラスへ向かった。350メートルに及ぶテラスの外壁に造られた象やガルーダの彫刻は、人々を魅了する。このテラスの奥に王宮があるのだが、王宮は木造であったためその痕跡は残っていない。だから、このテラスに観光客が集まるのだ。

 ライ王のテラスの外壁には、神々と阿修羅、女神が描かれている。テラスの上には、ライ王の像が置かれている。ライ王は、ライ病に罹った王という説と、閻魔大王とする説がある。右の手を見ると、確かに指がない。ライ病に罹って溶けてしまったのか、それとも壊れたのか、真相は不明である。というか、この像はレプリカで、本物はプノンペンの国立博物館にある。興味のある人はプノンペンの国立博物館へ行って下さい。

 続いて向かうは、梵天の古老 タ・プロームである。もともとはバイヨン寺院を造ったジャヤヴァルマン7世が母のために造った仏教僧院だったが、後にヒンドゥー教に改宗させられた。バイヨン寺院が仏教、アンコールワットはヒンドゥー教、タ・プロームは仏教からヒンドゥー教。これらの遺跡が造られた12世紀ごろは、仏教とヒンドゥー教が勢力争いをしていたのだろうか。

 我々一行は、西塔門から中に入った。

 「森の中には入らないで下さい。地雷があるかもしれません」
とガイドのティーさんは言う。

 地雷を踏まないように、みんなティーさんの後を続いて歩く。途中の道端で、クメールの伝統音楽を演奏している人たちがいた。彼らは、戦争と地雷によって負傷した人たちである。平和の祈りを訴えながら演奏をする彼らに、わずかばかりの寄付をした。

 建物の中に入ると、砂岩の隙間から巨大に成長した榕樹(スポアン)が顔を出している。顔を出しているというより、上から覆いかぶさっていると言った方が適切な表現だ。大蛇のような木、血管のように絡まる木、鳥の足のような木などが見られる。中には、木に埋もれてしまった仏像の姿もある。

 この神秘的な雰囲気は、映画にも登場している。野生動物を主人公にしたフランス映画の『トゥー・ブラザーズ』やアンジェリーナ・ジョリー主演の冒険アクション映画『トゥーム・レイダー』など。最も有名な巨大木の前には人が溢れていて、順番を待ってやっと写真を撮った。

 それにしても、この榕樹は一体何だろう? どうして、こんなに生えてきたのだろうか?この仏教僧院は、後にヒンドゥー教に改宗させられて、その際に仏教色の強い彫刻の多 くが削られたらしい。もしかしたら、仏教の呪いなのかもしれない。私が、呪いだ呪いだ、と話していたら、ガイドのティーさんは「ノー・ノー」と強く否定していた。

 一時間ほどタ・プロームを見学したら、もう汗びっしょりとなっていた。レストランで冷たいアンコールビールを飲み昼食を食べた。カンボジアでは、12時から15時は一番暑い時間帯なので、ホテルに帰ってシャワーを浴びて休憩した。

 アンコールワット観光は、日差しが弱くなった3時半からスタートする。

2 件のコメント:

たけちゃんまん さんのコメント...

無事のお帰りなによりです。
このアンコールワットの旅も本に成るのでしょうね。 
楽しく旅をされた様子が伝わって、私も行きたくなりました。
そのうち足を延ばそうと思います。

イシケン さんのコメント...

早速の写真のUP有難う御座いました。「3月30日 帰国しました」は、タイに戻られたのかと勘違いしてました。先程石巻のKZさんのメールでコチラだと分かりました。考えてみたら私も鈍いですなァ  (^^ゞ
素晴らしいブログになってきましたね。私のブログと違ってサスガにプロの文章表現は上手いものです。旅行気分で片手にビール...このブログを開くときの私のスタイルです。この先を楽しみにしてま~す。