2009年2月21日土曜日

パタヤ警察24時

 ネットで、☆元外交官婦人・タイ・海外・国内ニュース便り☆ というブログを書いているリアさんという女性がいる。ボランティアでパタヤ警察の通訳などをしている方だ。いつも面白いタイ、パタヤの出来事を書いている。

 ある日本人による殺人事件の事情聴取があると聞いて、公聴会に参加することになった。その際の通訳がリアさんだと聞いたので、早速彼女に連絡を取った。彼女は今日、警察のボランティアをする予定だったので、正午に警察に出向いた。

 彼女は、黒いスーツにサングラスをかけて颯爽と現れた。殺人事件の通訳のことを訊いたら、まだ頼まれてはいないとの事だった。タイのことだから、直前に依頼が来るのかもしれない。あまりこの事件とは係わり合いになりたくないとの事だった。

 事件のことはさておいて、世間話をしていると、パタヤで共通の友人、知人がいることが分かった。元外交官婦人なんて書いてあるからお高い女性かと想像していたが、気さくでざっくばらんな女性で話が盛り上がった。

 警察のボランティアとは、トラブルを抱えた外国人の通訳である。ご存知の通り、パタヤは外国人観光客が多く、夜になると街全体が繁華街に変身してしまう。酒と女でファランが羽目を外しまくっている。当然、喧嘩や事故、金銭トラブルなども多い。警察も24時間フル回転で活動している。

 私が彼女と話していると、相撲取りのような白人男と小柄なタイ人女性が現れた。男はオーストラリア人で、何か相談事があるらしい。私は席を譲り、2人はリアさんの前に腰掛けた。後ろの席で彼の話を盗み聞きしたところによると、女性との金銭トラブルのようだ。リアさんは2人の話を聞いて、警察官がいる奥の部屋に連れて行き事情を話した。

 トラブルの内容はこうである。昨晩午前3時、男はソイ8のあるゴーゴーバーから700バーツのペイバー(連れ出し料)を払って彼女をホテルの部屋に連れ込んだ。一晩2000バーツの約束をしたが、いざ鎌倉という時に眠くなり何もしないで寝てしまった。朝の11時に目を覚まし、「何もしなかったから金は払わない」と言ったらしい。「500バーツちょうだい」と言ったが相手にしてもらえず、怒った彼女は恐れ多くも警察に訴え出たのである。

 こんなことはパタヤではよくある話である。だが、警察に相談に来るとは馬鹿げた話だ。もしエッチをしていたら売春ということになるからそれ自体犯罪なのに、警察もその件についてお咎めはしない。まったくどうかしているよ、この国は。

 結局は2人で話し合いをしろということになったが、警察の外で女性が泣き出した。男は、「PREASEと言え」と言いながら、しぶしぶ500バーツを支払っていた。でかい図体をしてなんとも情けない男である。エッチしようがしまいが、一晩2000バーツと契約したんだから、ちゃんと金は払えよな! そんな事をしていると、いつか太鼓腹にナイフが刺さるよ! キーニャオさん。

2009年2月7日土曜日

タイ秘湯ツアー第4弾 その19 最終章







旅の終わりはサバ寿司で

 秘湯ツアー終了後の2日間はピーピー島とクラビを回ったが、クラビの陸の孤島・プラ・ナンの景色が一番すばらしく心に残った。またいつか機会があれば、満潮時にプリンセス・レイク(海水湖)を見に行きたい。

 アオナンのPKマンションに戻り、午後1時にスラタニへ向けて出発した。今夜の列車でバンコクへ戻ることになっている。スラタニまでは約200キロ、昼食を食べて3時間もあれば十分だろう。仲間から「途中で温泉に入っていこう」という声も出たが、列車のチケットをまだ買っていなかったので、スラタニ駅に直行することにした。

 午後4時前に駅に到着して、窓口で19:45発の2等寝台を注文したが、その日の寝台車はすべて満席だった。やっぱり、ハイシーズンは混んでいる。早めに予約しておけばよかった・・・。仕方なく、20:25発のエアコン座席を買った。

 レンタカーは駅前の店に午後5時に返す約束だったが、仲間が初日の夜に食べたサバ寿司が食べたいというので、返却時間を7時に変更してもらった。まだ少し早いが、スラタニ・タウンへ向かった。

 寿司と言っても、屋台で売っているパック詰めの寿司である。でも、一週間以上もタイ料理を食べていたので、寿司が食べたくなったのであろう。私などは、インドで2ヵ月間もまずいカレーや小麦粉を練って揚げたものばかり食べて辛い経験を積んできたから、タイ料理ならまったく大丈夫だけれど。

 屋台の前の店に入りビールだけ注文して、仲間は寿司とたこ焼きを買いに行った。サバ寿司20個、昆布の軍艦巻き20個、うなぎ寿司10個、たこ焼き2人前など、みんな腹ペコの子供のように無心に寿司を食べていた。

 秘湯ツアーでいつも頭を痛めるのは、食事のメニューである。朝はアメリカン・ブレックファストやお粥、昼はチャーハンかぶっ掛け飯でいいけれど、夕飯が困る。夜はさっぱりしたものが欲しくなる。だが、田舎へ行ってしまうとコテコテのタイ料理しかない。今回は海沿いだったからシーフードを食べることができたが、味付けはタイ料理だ。一週間以上も旅していると、やっぱり和食が恋しくなる。 

 先日、「タイに日本式温泉、初の本格整備へ 観光起爆剤となるか・・・地元も期待」というニュースが流れた。昨年来、タイでは温泉の観光地化を推進してきたが遅々として進まないため、日本企業が開発に乗り出すらしい。ついに、タイに日本式温泉が誕生する。場所はチェンマイ県で、温泉施設、宿泊施設はもちろん、工芸品の実演販売なども計画している。

 今までに、80ヵ所以上の温泉を見てきた。その中で、入浴施設や宿泊施設がある温泉で共通して言えること(問題点)がいくつかある。まず、温泉までのアクセス。施設の管理とメンテナンス。美味しい食事。この3点をクリアできれば、温泉の観光地化は実現できるであろう。我々のように、レンタカーを借りてどこへでも行き、どんな温泉でも入浴してしまう輩にとっては、やはり美味しい食べ物が欲しい。温泉に入ってビールを飲みながらご当地の名物料理を食べる、これが一番である。ただ、タイ料理だけでは飽きてしまうので、和食、洋食、中華なども少しは加えて欲しいものだ。タイ発の日本式温泉、楽しみである。

 さて、タイ秘湯ツアー第4弾はこれですべて終了した。

 われら秘湯探検隊、次回はどこへ行くのだろうか?

2009年2月6日金曜日

タイ秘湯ツアー第4弾 その18







陸の孤島 プラ・ナン

 ピーピー・ドン島はすっかり観光地化されてしまい、単なる海水浴場になってしまった。アンダマン海では大シケに遭い、ピーピー・レ島のビーチは国立公園になって200バーツの入場料が課せられていた。もう、ピーピーも終わったなぁ。

 午後3時半の船に乗りアオナンビーチへ向かったが、その船はクラビ・タウンに着岸した。そこから、大型のソンテオに乗りバスの待合所へ連れて行かれ、さらにミニバスに乗り換えてやっと宿まで送ってもらった。やれやれ。

 ピーピー島も荒れ果ててしまっていたので、最終日はライレイ半島のプラ・ナンエリアへ行くことにした。ここは陸の孤島になっていて、アオナンビーチかクラビ・タウンから船で行くしか方法がない。宿泊しているアオナンビーチからひとり80バーツ(片道)の乗り合い船で行くことになった。

 朝8時半、潮が引いた遠浅の海岸をロングテイルボート(8人乗りの細長い木造船)が停まっているところまで歩き、船に乗り込んだ。海上を走ること約10分、船はライレイ・ウエストビーチに着いた。

 ビュー・ポイントへ行くため、半島を横切ってライレイ・ウエストビーチに出た。マングローブがある海岸も遠くまで潮が引いている。海岸沿いを歩いて半島の先端へ行き、ビュー・ポイントの入口を探したが、見つからない。岩山の麓を歩いているうちに、また西側にビーチに出てしまった。ここは西側のプラ・ナンビーチだが、ライレイ・ウエストにはつながっていない。

 ビュー・ポイントは半島の山の上のはずだ。そこには、LAGOON(プリンセス・レイク)という湖もあるらしい。入口はどこなんだ! 物売りのおばさんに訊いてみると、今来た道の途中の休憩小屋の前にあるらしい。これで分かった。

 休憩小屋の前には、険しい登山口があった。ロープが垂れ下がっていて、まるでロッククライミングのようである。危ないので、私と新井さんが行くことになり、あとの2人はビーチで待つことになった。

 若い頃に岩登りの経験があるので岩山を登るのは慣れているが、素人には厳しいかもしれない。特に、下りは危ない。10分ほどで山頂に着き、そこから少し下ってビュー・ポイントへ行った。ここもピーピー・ドン島と同じで、両サイドにビーチが見えた。

 LAGOONという湖へは、さらに急な坂を下る。滝のような岩山を、ロープを掴みながら下らなければならない。途中でファランと会って話を聞いたら、ここは海水が満ちてくると湖になるらしい。岩登りのよう危険な山道といい、海水湖といい、そんなことは地球の歩き方には載っていなかったぞ!!!

 4つの滝を下って、やっと湖に辿り着いた。ところが、まだ潮が満ちておらず泥沼の状態であった。潮が満ちてくるのは正午からだそうだ。それまで待っていられないので、写真だけ写して、ビーチに戻った。

 目の前に巨大な岩山が浮かぶプラ・ナンビーチは観光客も少なく、静かで綺麗なビーチだった。ピーピー島へ行くよりも、ここでのんびりすればよかった。次回は、プラ・ナンのホテルに泊まることにしよう。そして、もう一度満潮時の海水湖を見に行くぞ!!

2009年2月5日木曜日

タイ秘湯ツアー第4弾 その17







 ピーピー・レ島へ

 賑やかな観光地になってしまったピーピー・ドン島には1泊の予定であったので、翌朝はチェックアウトをして朝食を食べに桟橋まで歩いた。昨日より北風が強く、ヤシの葉が大きく揺れていた。昨晩はビューポイントへ行って写真も撮ったし、こんなに人が増えてしまって俗っぽくなってはもう来ることもないだろう。朝食を済ませてから、小さな細長い木造船を3時間チャーターして、憧れのピーピー・レ島へ出掛けた。

 天気明朗なれど風強し。乾季の空は晴れ渡っていたが、湾内を出ると北風が強く吹き出し、海が荒れ始めた。島の左側から入り、バイキング洞窟を見学した。断崖の岩肌には裂け目が有り、岩が垂れ下がっていた。こんなところに海燕が住んでいるのだろうか。やがて、最初の入り江・ピーレ湾に入った。湾の中では風はなく、波は穏やかである。ダイバーが大勢いる中、私もマスクを着けて海に潜った。すると、魚がうじゃうじゃ泳いでいた。こりゃ、大変だ!!

 すぐに船に上がって、釣竿を出した。イカの切り身を着けて仕掛けを入れると、すぐにヒット。15センチほどの魚が入れ食いだ。ところが、ここは禁漁だった。
「他にポイントがありますから」
 と船頭さんが言うので、竿を上げた。

 次に、反対側の湾、映画『ザ・ビーチ』の舞台になったマヤ湾へ向かった。外洋に出ると大シケになる。ゆっくり船を走らせて湾の中に入った。さすがに有名な場所なので、大型船やヨットも来ていた。湾の奥にザ・ビーチが見えた。上陸するように指示したら、
「あそこは国立公園だから、上陸するのにひとり200バーツかかります」
 と船頭が言った。

 何だって、いつから国立公園になったんだ! ピーピー・ドン島は取られないのに、どうしてここだけ金を取るんだよ。

 映画で有名になり、世界中から観光客がドッと押し寄せて来たので、国立公園に指定したのだろう。まぁ、タイ政府がやりそうなことだ。上陸するだけで200バーツも払うのは癪だから、写真だけ撮って湾を出た。

 最後に釣りのポイントへ行き釣りをしていたら、友人のひとりが船酔いにかかってしまった。風が強くて波も荒い。魚信(あたり)も少なかったので、諦めて早めに帰ることにした。ところが、岩陰から出ると強風に煽られてまっすぐに進めない。大丈夫だろうか?

 ベテランの船頭さんは、うまく風を交わしながらゆっくりと船を進めた。そして、何とか島を脱出してスピードを上げた。すると、今度は強烈な波しぶきで身体がビショビショになり、風と海水で身体が震えてきた。船酔いの友人はついにギブアップ、胃袋の中のものを全てアンダマンの大海原にぶちまけてしまった。

 後で聞いた話だが、ちょうどそこ頃タイに寒波が来ていて各地で北風が強く吹いたそうだ。チェンマイなどの北部では、寒さで凍え死にした人も出たらしい。乾季でもこんなに海が荒れることがあるとは、恐るべきアンダマン海!!

2009年2月4日水曜日

タイ秘湯ツアー第4弾 その16







 ピーピー島へ

 秘湯ツアーは大きな成果を残して終了したが、まだ旅が終わったわけではない。アオナンビーチのPKマンションに戻ると、翌日のピーピー島へのツアーの予約をした。車は、宿の前の私道に置かせてもらうことにした。

 ピーピー島のゲストハウスも予約しようとしたが、「クラビから予約すると高いから、島の桟橋で予約した方がいい」と言われた。今の時期はハイシーズンで観光客が多いけれど、大丈夫だろうか?

 翌朝8時15分、表通りにソンテオが迎えに来てアオナンビーチのはずれの桟橋へ行った。桟橋には大勢のファランが待っていて、9時過ぎになると船に乗り込んだ。船室には座席があるがデッキの方に人気があり、デッキは山のような荷物とファランたちでいっぱいになった。我らは、後方のデッキを陣取った。

 出発して20分ほどすると船はスピードを緩め、岩山に囲まれた湾のようなところで停まった。「景色を見るために10分ほど停まります」という船内放送が流れた。乗客は写真を写し出したが、その間に木造の渡し舟に乗ったファランが次々に乗り込んできた。もう、デッキは足の踏み場もない状態だ。

 今から18年前、プーケット島から日帰りでピーピー島へ出かけた事がある。その時は雨季の最中で海は大荒れ、ピーピー・ドン島に辿り着くのがやっとで、ピーピー・レ島の観光はできなかった。そんな苦い思いでもあり、今回ピーピー・レ島まで足を伸ばす計画を立てた。

 船は2時間でピーピー・ドン島に着いたが、そこはかつてのピーピー島とはまったく違ったイメージだった。木造の壊れそうな桟橋は立派なコンクリートの船着場に変わり、土産物屋が数軒しかなかった村は、コンビニやレストランが建ち並ぶ賑やかな繁華街になっていた。船着場の反対側のロ・ダラム湾はかつて幻想的なビーチだったが、今ではパラソルとデッキチェアが並ぶ普通の海水浴場になっていた。これじゃ、パタヤビーチと同じじゃん!!

 パタヤもそうだが、18年の歳月が経てば変化するのは無理もない。映画『ザ・ビーチ』や津波の影響で知名度が上がり、世界中から観光客が押し寄せて来たからであろう。ある程度は予想をしていたが、何だか寂しい気持ちになった。

 船着場で「安いゲストハウスはないか?」と交渉して、街から離れた山の中腹にあるバンガロー(1泊800バーツ)を予約して、チェックインした。山の中で蚊がいると思い、蚊取り線香を焚いて外出した。

 昼食後は、大勢の人がいるロ・ダラム湾のビーチの隅の方で、シュノーケリングと釣りをした。これなら、パタヤのラン島のサメービーチの方が綺麗かもしれないなぁ。そんな感じがした。

 夕日を見るため、ビューポイントへ足を運んだ。登り口からいきなり急な石段が続いている。これが結構辛かった。私は一足先に10分ほど休まず登り詰めた。すると、見晴らしのよい場所に茶店があったので、そこがビューポイントだと思い、腰掛けてコーラを飲んでいた。すると、ファランのお父さんが「ビューポイントはさらにこの上だよ」と教えてくれた、残念!! あとから来た仲間と一緒に、さらに10分ほど登りやっとビューポイントに辿り着いた。

 そこからは、ピーピー・ドン島の桟橋があるトンサイ湾とロ・ダラム湾を望むことができる。北海道の函館山からの景色とよく似ていた。両方の湾の先に夕日が沈む様は、まさに絶景であった。でも、人が多すぎたのも事実である。完璧な観光地になってしまったから仕方ないか!!

2009年2月3日火曜日

タイ秘湯ツアー第4弾 その15







 クラビは温泉建設ラッシュ

 クロントム郡バーンプンの温泉公園で会ったファランの夫婦が、
「ここから500メートル先の国道沿いにすばらしい温泉リゾートが建設中だよ」
 と教えてくれた。こういう貴重な情報が大切なのである。これは見学しなければならない。

 国道4号線をゆっくり下って行くと、道路沿いに大きな看板があった。
『NATTHA WAREE HOT SPRING & SPA COMING SOON』 (ナッタ ワリー温泉 近日オープン)

 看板の横の道を入って行くと、建設工事の資材を乗せたトラックが数台止まっていた。奥には、大きな楕円形のプールができていて、人工の岩山から温泉が滝のように流れる仕組みになっていた。これは凄いぞ! 他にもいろいろ造っているようだ。工事関係者に訊いたら、あと2ヵ月で完成すると言われたが、タイのことだから半年はかかるだろう。また来シーズンに来るしかないかなぁ。

 タイ秘湯ツアー第4弾の最後の温泉は、クロントム郡のナムローン村にある。地図を頼りに街の中心部から山の方へと入って行く。やがて、森の中を通り抜け未舗装道路に出た。その突き当りには、池がある庭園があった。ここが温泉だろうか?

 車を下りて、看板を見たがどこにも『ボーナムローン(温泉)』の文字はない。怪しいけれどここじゃないなぁ。少し戻って、コンクリート・ミキサーが止まっていた場所を覗いてみた。すると、仮枠の中にコンクリートを流し込んでいた。手前には完成したプールもあった。その隣には、源泉もあった。ここだ!!

 工事関係者の許可を得て、早速入浴をした。工事中なので風情はないけれど、なかなかいいお湯である。先ほどの温泉公園ほど敷地は広くないが、完成すればいい温泉になるだろう。クラビには、昨日の『HOT STREAM(滝湯)』や『KRABI HOTSPRINGS』という成功例がある。ナッタ ワリー温泉も建設中だった。ここも成功例を見習って、立派な温泉施設を造ることになったのだろう。クラビは温泉建設ラッシュですか?

 これで、予定していたすべての温泉めぐりが終了した。スラタニ県7ヵ所、パンガー県3ヵ所、クラビ県6ヵ所、合計16ヵ所を回り、10ヵ所に入浴できた。クラビでは建設中の新温泉も発見できた。これは大きな成果であり、今回のタイ秘湯ツアー第4弾は大成功であったと言える。ツアー第1弾~3弾を合計しても22ヵ所だから、1回のツアーで16ヵ所はすばらしい。これも、タイ国防省の5万分の1の地図のお陰だろうか。まぁ、何はさておき無事終了することができた。みなさん、お疲れ様でした!!

 タイ秘湯ツアー第4弾は終わったけれど、これで旅が終了したわけではない。このあとは、ピーピー島で休養して釣りとシュノーケリングをする予定である。18年ぶりのピーピー島がどのようになっているか楽しみである、

2009年2月2日月曜日

タイ秘湯ツアー第4弾 その14







 格安の温泉公園を発見

 沼地の泥で汚れた足を近くの小川で洗い、国道4号線まで戻った。林の中を40分ほど歩いたのでみんな喉が渇いていた。国道沿いの商店で、コーラやジュースを買って飲んだ。そんな時にも、情報収集は欠かさない。
「タラート・ヌアクロン温泉はどこですか?」
 店のおばさんに訊ねた。
「温泉ならバーンプンがいいよ」
「そこにはあとで行くけど、まず、タラート・ヌアクロンを教えて」
 そう言うと、
「すぐそこだよ」
 と言って、信号の方を指差した。
「どこ?」

 押し問答をしていると、店の中からご主人が出てきて案内すると言ってくれた。ご主人のバイクの後を着いて行くと、本当にすぐ近くで止まった。国道沿いの歩道にドカンがある。う~ん、これですか?

 ドカンの中は深く、温度を計ることはできない。チェンマイ大学によると47度となっているが、そんなにあるようにも思えない。歩道の脇の窪地を下りて行くと、多少湯が出ていた。温度は低かった。まぁ、仕方がないか。

 ご主人は、となりのクロントム郡のバーンプンへ案内すると言ってくれた。でも、遠いんじゃないの? バイクで大丈夫ですか?

 ご主人が乗っているバイクは100~125CC程度のものだが、無理をして80キロで先導してくれた。15分ほど走って左折の場所で止まり、
「この奥だ」
 と指を指した。
 御礼をしようと思ったが、彼はすぐにUターンして帰ってしまった。ありがとう、ご主人!! 

 左折してすぐの所に、『KRABI HOTSPRINGS』の大きな看板が見えた。これは凄いぞ!! 駐車場に車を止めて、中国風の門をくぐって中に入った。受付で50バーツの入浴料を払い、公園の奥へ歩いていった。左手には池もあり、結構広い公園である。

 突き当りには、大きな温泉プールがあり、脇には水車付きの足湯もある。プールには温泉が滝のように流れ込み、プールサードにはデッキチェアも置かれている。その奥にも、いくつかのプールと勢いよく湧き出る源泉があった。プールは5つ、源泉は3つあり、工事中のプールと建物もあった。管理も行き届いていて、なかなかすばらしい温泉公園である。

 竹林の中にある丸いプールに入ってみた。竹が倒れて屋根のようになって、太陽の日差しを遮っている。面白い温泉だ。お湯の温度も十分だし、湯量も多い。これで50バーツなら文句はない、満足のいく温泉である。商店のご夫婦が薦めたのも無理はない。

 私の中ではほとんどノーマークだったクロントムのバーンプンが、こんな立派な温泉公園だったとは嬉しい限りである。秘湯ツアーの最終日にも入浴ができてよかった!! 残るはあと1ヵ所、と思っていたが・・・。
 

2009年2月1日日曜日

タイ秘湯ツアー第4弾 その13







 ヤシ林とゴム林にある秘湯

 クラビの中心部から国道4号線で東へ20キロほど行った所に、ヌアクロン郡がある。そこには、2ヵ所の温泉があるとチェンマイ大学の資料には記されてある。まずは、ホワイユントック村を訪ねた。

 村までは簡単に辿り着いたが、そこからが大変だった。村人に場所を訊いても、みんなそれぞれ言うことが違う。
「学校の横を曲がって500メートルだ」
 言われたとおりに行ってみても、温泉などどこにもない。近くの民家で訊いたら、さらに奥に入るように言われて行ってみたが、森の中に入ってしまいギブアップ状態だ。

 諦めかけた時、自宅の庭で上半身裸で草刈をしている男性に声をかけた。
「この辺に温泉はありませんか?」
 彼は草刈機を止めて、
「2ヵ所あるよ」
 と答えた。
「どこですか?」
 そう言うと、家の中に入ってしまった。

 しばらくして、シャツを着て戻って来た。どうやら、バイクで案内してくれるようだ。これはありがたい。バイクの後に着いて5分ほど走った。先ほどの村人の説明とはまったく違う場所だ。そして、ある家に着いた。その家の裏庭はゴム林になっていて、彼はゴム林の中を歩き出した。この林の奥に温泉があるのだろう。

 10分ほど歩いて、ついに源泉池に辿り着いた。これじゃ、説明してもらっても、地図を描いてもらっても見つけることはできないだろう。源泉の温度は熱く、入ることはできない。写真を撮って民家に戻った。

 今度は、もうひとりの男を案内役にバイクに乗せて出発した。大きな池の周りを回って、ヤシ林の中に止まった。ヤシといっても、ココナッツが実る気ではなく、実からヤシ油(パームオイル)を取る為の背が低いヤシの木である。

 多分、個人所有の農園であるヤシ林に入って行き、途中から柵を越えてジャングルに出た。そこは、沼地になっていて足が泥に沈んでいく。木の枝に足を乗せながら沈まないように進んで行くと、案内人が丸太の上に立っていた。もうこれ以上は無理だ。案内人は、
「ここが温泉だ」
 と言って、沼の水面に浮かんでいる枯れ葉を小枝で払いのけた。

 手を入れるとぬるいお湯だった。源泉はどこだかわからないが、この状況では源泉を探し出す事はできない。ここも、写真を撮って退散した。

 ヌアクロン郡ホワイユントック村では、2ヵ所の温泉を発見できたが、残念ながら入浴はできなかった。しかしながら、チェンマイ大学の調査表にはない温泉を1ヵ所発見することができた。これは、地質学的にもすばらしい発見である。

 案内をしてくれた男性2人には、100バーツのチップをあげた。ご苦労様でした!!

 さぁ、次の温泉はどこだ!!