2008年4月7日月曜日

陸路で行くカンボジア・アンコールワットの旅 その3







 アンコールトムへ


 いよいよ今日からアンコール遺跡の観光が始まる。午前中は、アンコールトムにあるバイヨン寺院と象のテラス、ライ王のテラス、タ・プロームを回り、昼食、休憩を挟んで午後3時過ぎからアンコールワットへ行く。アンコールワットは西向きなので、午前中だと逆光になってしまうため、東向きのバイヨン寺院を見てから、午後にアンコールワットを見ることになっている。

 朝7時に起きてシャワーを浴び、ホテルの隣にある市場でソバ(ビーフン麺)を食べた。冷たいお茶とセットで1ドル。多分、これは外国人価格であろう。なぜならば、ホテルのボーイの月給は40ドルと聞いた。ソバが1杯1ドルだと、40ドルでは1ヶ月は暮らしていけない。でも、我々にとっては100円だからまぁいいか。

 日本から来た友人は、朝5時に起きて「アンコールワットから朝日を見るツアー」に参加していた。私は5時に起きられないので、パスした。パタヤの仲間とソバを食べていたら、ちょうど友人が帰って来たので、彼もソバを注文して一緒に食べた。

 8時半にロビーに集合して、7人ずつ2班に分けて出発した。私たちを担当した日本語ガイドのティーさんは、とても日本語が上手であった。彼は、車内でカンボジアの現状を話してくれた。

「大きな声では言えませんが、現首相のフン・センは悪い奴です。軍隊を牛耳って、自分だけ私腹を肥やしています。我々のような貧乏人は、早く死ねと思っています」
「カンボジアは、地雷や政情不安のため外国企業を誘致できません。みんな仕事がなくて困っています。アンコールワットの入場料20ドルは、ベトナム政府に吸い上げられます。カンボジアは、ベトナムの傀儡政権だから仕方ありません」

 ティーさんは、真面目な顔で話す。

 アンコールワットの観光旅行に来て、遺跡を見る前に何だかいきなり重い話を聞いてしまった。彼は、カンボジアを代表して外国人に現状を訴えているのだ。早く300万個の地雷を撤去して、新しい指導者の下、豊かな国になってほしいものである。それにしても、傀儡政権なんて難しい言葉をよく知っているね。

 アンコール遺跡の入口で、入場券を買う。朝日のツアーに参加した人はもうすでに買っていた。このチケットには、本人の顔写真がプリントされている。なかなか管理が行き届いている。そうか、ベトナム政府が管理しているのだろう。例えば、年間に100万人の入場者があったとすると、2000万ドルもの金がベトナムに流れていることになる。こらは、キッチリ管理するだろう。

 車は、アンコールワットのお堀の横を通り抜けて、南大門の前で我らを下ろした。そこから、歩いて南大門を潜り抜ける。今から800年以上前に造られた、砂岩を積み重ね彫刻を施した門を見ていると、歴史の重みが伝わってくる。と同時に、今にも崩れ落ちそうで少し怖かった。

 門を潜ってからまた車に乗り、バイヨン寺院へ向かう。バイヨン寺院は、12世紀に造られた仏教寺院である。入口の両脇には聖池があるが、乾期のため水はなかった。その代わりに、クレーン車が止まっていた。老朽化して崩れてしまった遺跡を修復しているのである。日本の上智大学のボランティアの人たちが、炎天下の中で頑張っていた。

 バイヨンの見所は、第一回廊のレリーフ。バイヨンでは、日常的な庶民生活や貴族の暮らし、チャンパ軍との戦闘場面が描かれている。説明を聞きながら見ていると面白いが、人が多くてなかなか前に進まない。まぁ、世界的に有名な遺跡だから仕方あるまい。

 観世音菩薩の四面塔が至る所に見られるが、その中でも第二層のテラスには3つの菩薩が並んで見える場所があった。その風景を少し高い位置から一枚写した。

 大勢の観光客に混じって見学をしていたら、この観世音菩薩とまったく同じ顔をした少女を発見した。カンボジア人である。彼女も純粋のクメール人なのであろう。

 それにしても、すごい人だ。気温は40度を超えていた。早く休憩したいよ!

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