2008年8月26日火曜日

タイ秘湯ツアー第3弾 その4







謎につつまれた温泉

 田んぼの中のポンプ温泉を9時40分に出発して、次はメーター郡ターカー村へ向かった。国道11号線沿いにある土産物村に立ち寄ってタイ語で書いた温泉名を見せたが、誰も知らなかった。あまり温泉に興味がないのだろうか?

 次に、国道沿いの民家で訊ねたら、親切に地図を描いてくれた。
「この先のガソリンスタンドをUターンして、警察を左折するんだ」

 言われたとおりに走って行ったが途中で不安になり、警察でおまわりさんに左折ポイントを訊いた。普段、警官にはいいイメージを持っていない。特に、ハイウェイパトロールのおまわりは、人の弱みに付け込んですぐに賄賂を要求するからだ。ところが、田舎のおまわりさんは親切丁寧に道を教えてくれた。おまわりも悪い人ばかりじゃないんだなぁ。

 道に迷いながらターカー村を目指して走って行った。もちろん、途中で何度も道を訊ねながらである。やっと核心に迫ってきたところで行き過ぎてしまい、畑を通って山を登るととなり村に出てしまった。

「一体どこにあるんだ! さっきの農夫は山の上だと言ったのに」

 クソ! だんだん腹が立ってきた。それは、道を教えてくれたタイ人に対してではなく、タイ語が未熟な自分自身に対してである。

 再び山を下りて、果樹園で農作業をしている男に訊ねた。すると、山を登ってそのまま曲がらずに赤土の道をまっすぐに行けと言った。そうか、分かったぞ! 車がやっと一台は入れそうな獣道を行くんだ。

 気を取り直して山を登り、行き止まりかと思われた未舗装の山道へ入って行った、幸い雨は降っていなかったので道は乾いていた。これなら走れる。赤土の凸凹道をどこまでも行くと、ゲートに突き当たった。何だろう? 国立公園にしてはみすぼらしいが。

 ゲートの先には砂利が積まれていて、遠くの山肌は切り崩されている。そうか、ここは採石場だ。見張り番のおばさんに温泉のことを訊くと、この中にあると言う。見学したいと話すと、携帯電話で誰かに電話をかけた。
 マネージャーに電話をしたが通じない様子。
「この先に事務所があるから、そこでマネージャーに許可をもらって」
 とおばさん。

 ゲートをくぐって採石場の中に入ると、事務所兼従業員宿舎があった。そこには、口ひげがある色黒・強面のオヤジが立っていた。
「温泉を見学したいのですが」
 率直に言うと、
「今、発破をかけているのでダメだ。午後1時に来れば案内してやる」
 そう言われたので、また来ますと言って立ち去った。

 まだ11時半だけど昼飯にするか。麓の掘っ立て小屋のような食堂でチャーハンを食べ、インスタントのコーヒーを飲んで時間をつぶした。

 1時5分前にゲートに行くと、さっきのマネージャーがやって来て、
「見学はダメだ」
 と言った。

 だったら、最初からそう言えよ。こっちは忙しいのに1時間半も時間をつぶしたんだぞ。この嘘つき野郎!

 結局、ランプーン県メーター郡ターカー村のムアンテーニティ温泉を見ることはできなかった。外部の人に見せないとは、金鉱でもあるのだろうか? それとも、大麻を栽培して麻薬を作っているとか? 謎は深まるばかりだった。

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