2008年8月6日水曜日

タイ秘湯ツアー第2弾 その8







温泉よりも命が大事

 ジャングルの川べりにある幻の温泉を断念して、午後1時25分にウンパーンを出発した。帰りも往きと同じく険しい山道をくねくねと走らなければならない。だが、帰りは下りなので往路よりも楽だった。途中、難民キャンプの近くにある峠の茶店でコーヒーを飲み休憩した。今日はメーソットに戻るのが精一杯だろう。

 山を下ると道は平坦になり、時速120キロですっ飛ばした。ほとんど車は走っていないけれど、たまにのんびり走っている車に出会うとあっという間に追い越した。メーソットへ向かって軽快に走っていると、珍しく渋滞に巻き込まれた。何だろう? 

 車を止めて前方を見ると、ピックアップトラックがセンターラインをまたがって斜線を塞いでいる。事故だ! 警察官の誘導によりゆっくりと近づいて行くとトラックの運転席側がめちゃくちゃにつぶれていた。これじゃ運転手は大怪我を負ったか、もしくは即死したかもしれない。

 トラックの左側の草むらには大型トラックが横転していた。積荷のキャベツが散乱している。多分、よそ見か居眠り運転で正面衝突をしたのだろう。楽しい温泉旅行の最中に、悲惨な事故現場に遭遇してしまった。事故は悲惨だったが、散乱したキャベツの前で何もなかったかのように黙々と飛び散ったキャベツを竹の籠に入れているおばさんの姿は滑稽だった。周りに群がる野次馬たちも、心配そうにキャベツを見ていた。まさにチャップリンの悲喜劇の世界で、思わずみんなで笑ってしまった。

 今まで猛スピードで飛ばしていたが、大破したトラックを見たらアクセルを踏む右足に力が入らなくなった。
「ゆっくり行きましょう」
 自分で自分を諭すように言った。

 メーソットの街には5時前に着いたが、もう1ヵ所の温泉は場所が分かりにくいので明日の早朝に出かけることにした。ホテルを探すのも面倒なので、昨晩の妖しいホテルに投宿した。お疲れ様でした。

 最後の晩餐は野菜炒めと焼き鳥じゃ寂しいので、豪華な中華料理店へ出向いた。豚の角煮、青菜炒め、焼きビーフン、魚のすり身のフライ、餃子、アヒルの煮物などを注文して、4人で腹いっぱい食べた。ビール大瓶を3本頼んで、会計は全部で900バーツだった。バンコクだったら2000バーツくらい取られるだろう。やはり、田舎は安いなぁ。

 明日の最終日は、午前中に温泉を探し当ててパタヤへ戻る計画だ。実は、その温泉は山間の田んぼの中にあって歩いていかなければならない。その情報を知っているのは、Aさんと私だけだ。別に悪意はなかったが、Fさん達には内緒にしておいた。行ってからのお楽しみだ。

 

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