2008年7月10日木曜日

カンチャナブリ秘湯ツアー その7







以前、パタヤに住んでいた日本人からカンチャナブリの温泉の話を聞いたことがある。そこは、街中にあるお寺の中に温泉が湧いているというものだった。彼はタイ人の彼女と行ったのだが、正確な場所も名前も覚えていなかった。面白そうな温泉なので、いつかカンチャナブリへ行ったらぜひ訪れたいと考えていた。

 今回の秘湯ツアーを決めてから、ネットで調べてみた。すると、『タームアング地区ワンカナーイ寺院温泉保養所』という項目が引っかかった。写真には、ドカン風呂がたくさん並んでいる。これだ、ここに間違いない! ただし、地図は載っていない。

 宿泊したゲストハウスの従業員に、
「ワット・ワンカナーイを知っている?」
 と訊ねたら、観光地図に印を付けてくれた。タイと中国の仏塔があるお寺の近くである。これで分かった。

 ケーブルカーのあるお寺、ワット・タム・スアに参拝して昼食を食べてから温泉寺へ向かった。お寺はタームアングの街の県道沿いにあった。広い敷地の立派なお寺である。早速中に入り、駐車場に車を止めて外に出た。すると、異臭が鼻を襲ってきた。何だろう、この臭いは? 

 受付のような場所で「温泉はどこですか?」と訊くと、職員はお寺の隅の方を指差した。
「ありがとうございます」そう言って振り返ると、片隅に棺桶がピラミッドのように積まれていた。このお寺には火葬場があるようだ。棺桶には、ピンク色のメモ用紙がたくさん貼り付けてあった。死者へのメッセージが書いてあるのだろうか。もしかしたら、この悪臭は遺体の臭いですか? そうだとしたら、腐る前に早く焼いてよ!!!

 遺体から離れて温泉保養所へ行き、中を覗いてみた。まず、建物の手前に足湯場があった。タイ人女性がひとりでくつろいでいる。チェンマイのサンカンペーン温泉の源泉から流れる小川で足湯をしたことがあるが、タイでは足湯は珍しい。

 次に、ブルーシートで囲まれた温泉小屋に入る。そこには、洋式のバスタブとステンレス製のドカン風呂がたくさん並んでいる。しかも、男女別になっていて、合計で50以上の浴槽が造られている。これならいつでも入浴できる。

 初めは、係りの女性にバスタブへお湯を入れてもらう。お湯は勢いよく流れて、数分でいっぱいになった。お湯は無色・無臭で、温度は38~39度くらい。常夏のタイでは、丁度いい温度である。

 次に、ステンレスのドカン風呂に入る。こちらは、バスタブよりも少し熱い。隣のタイ人たちは、温度が熱いので掛け湯をしていた。確かに、5分も入っているとのぼせてしまいそうだ。

 風呂から出て身体を冷ましていると、お布施の箱が目に付いた。ここはお寺がボランティアで運営しているので料金は無料である。だが、いろいろと管理費もかかるのでお布施箱を置いているのだ。温泉に入ってタダという訳にもいかないので、少ないけど20バーツを寄付した。

 この温泉は、カンチャナブリ市内から車に乗って20分ほどで行けて、道路沿いの分かりやすい場所にある。お湯も結構熱くて、日本人には有難い温泉だ。ただし、異臭が少し気になった。もし出かけるなら、葬式がない日を選んだほうがいいかも知れない。

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