2008年6月27日金曜日

住宅街にオアシス出現







 私が住んでいるニランコンドの正門の前には、シャグウェル・マンションというホテルがある。以前、その隣はゴミ収集所のような汚い場所になっていたが、2年ほど前に立ち退きになり整地されて、どこからともなく屋台が集まって来た。空き地に屋台や露店が並んで市場のようになるのはタイではよくある光景だ。

 しばらくすると、空き地の一角にコンクリートが敷かれて屋根が建った。そして、食堂街がオープンした。いわゆる、屋根つきの屋台村である。一度惣菜を買ったことがあったが、それ以降は中に入っていなかった。

 3ヵ月ぶりに戻って来たら、屋台村の前のスペースにバービア街が誕生していた。屋根つきのカウンターが6つあり、中央にはビリヤードの台もある。ニランコンドの中にもバービアはあるが、6店舗もまとまってできたのは初めてである。ついに我が家の前にバービア街が現れた。住宅街にオアシス出現と言ったところか。

 久しぶりに友人と再会して彼の部屋で鍋を作って一杯飲んだ。その勢いで、新しくできたバービア街に繰り出した。すると、にぎやかな歌声が聞こえてきた。一軒のバービアには風船がずらりと並んでいた。そう、ハッピー・バースディの目印だ。豚の丸焼きやご馳走が無料で振舞われ、舞台では演歌歌手が大声で歌っていた。

 その店に腰を下ろして、シンハビールを注文した。ビールを運んで来た若い女性は私を見て、
「覚えている、私のこと?」
 と笑顔で言った。
 顔を見たが思い出せない。
「知らないよ」
「昔、スーパーベービーで会ったでしょ」
 と彼女。

 スーパーベービーとは、知る人ぞ知るパタヤで超有名なゴーゴーバーである。もうかれこれ20年の付き合いで、今でもウェイトレスの女性は私のことを覚えている。だが、ダンサーは半年くらいで変わってしまうし、いちいち顔など覚えていない。

 でも声をかけてくれたので一杯ご馳走しようと待っていたが、あいにく店が忙しくてわれわれのテーブルには座らなかった。
 豚の丸焼きを食べながら歌を聞いていると、またしても女性が私の前に現れた。
「ユキオ 元気?」
 そのおばさんは見覚えがある。そう、私の部屋を仲介してくれたスージーだ。
「何しているの、ここで?」
「あそこでレストランを始めたの」
 と言って、屋台村を指差した。
「今度食べに来てね」
 そう言って、店に戻って行った。

 パタヤに暮らして早4年、俺も有名になったものだ。でも、こう面が割れては悪いこともできないなぁ。そんな事を思いながら後ろを振り返ると「TIK TRAVEL」という看板が目に付いた。TIKはニランの1階で旅行代理店を経営している女性だ。敷地の端の長屋造りの建物に移転してきたらしい。

 せっかく近所に穴場ができたのに、周りには知り合いの女性ばかり。これじゃ、ここでのんびり飲んでいられないな。

 

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