2008年9月4日木曜日

タイ秘湯ツアー第3弾 その13







 ついに発見、これぞ秘湯中の秘湯

 牛野原温泉へ案内をしてくれた主人に、ポーンイエン温泉の場所を訊ねた。彼は、県道1150号線を西へ走り検問所を右折しろと教えてくれた。その道は県道1346号線で、ノーンクロック温泉へ通じる道だった。
「ノーンクロックじゃないよ。あそこには行ったことがある。その近くのポーンイエンだよ」
 そう念を押すと、
「分かっている、ファイマヒム村のポーンイエンだ」
 親切でお節介な彼が言うのだから間違いないだろう。とりあえず行ってみるか。

 検問所を右折して、ノーンクロック温泉への入り口付近のお店の前に車を止めた。店の中で作業をしているおばさんに、
「ファイマヒム村のポーンイエン温泉はどこですか?」
 と訊ねた。
「温泉ならこの裏にノーンクロックがあるけど」
 この辺りの人にとっては、温泉=ノーンクロックなのである。確かに、あそこは綺麗に整備された温泉公園で、個室風呂もあり入浴可能な温泉である。でも、われわれが探しているのは、知る人ぞ知る秘湯中の秘湯なのである。

「いや違います。ポーンイエンです」
「あぁ、ポーンイエンね。それならこの先を3キロほど行った所だよ」
 やっと情報を得ることができた。

 言われたとおり3キロほど走って、村人にファイマヒム村のポーンイエン温泉の場所を訊いた。すると。
「あそこを右折して、道路工事をしている所だよ」
 と教えてくれた。やったぞ!

 狭い農道を入って行き、工事をしている作業員に温泉の場所を訊ねた。
「ここじゃないよ、あそこだよ。すぐそこだ。」
 そう言って、森を指差した。
 あそこと言われても、森しかないじゃん。分からないよ。

 仕方なく車に乗って県道まで戻った。すると、先ほどの作業員のおじさんがバイクで追っかけて来た。案内をしてくれるらしい。どこの国でも一緒だけれど、田舎の人は親切だねぇ。助かった!

 温泉は確かに「すぐそこ」にあった。県道から20メートルほど入った場所に湧き出ていた。それは、源泉掛け流しならぬ源泉垂れ流しのドカン風呂温泉だった。ドカンの横には大小の桶が置いてある。地元の村人がかけ湯に来るのだろうか。

 これか、これがポーンイエン温泉だ。源泉の温度は40度と記されている。手を入れるとちょうどいい温度である。せっかく探し当てた秘湯だ、入ってみよう。

 服を脱いで、丸太の橋を渡ってドカンに体を沈めた。草木に囲まれた天然の露天風呂は、日本の温泉旅館では味わえない風情がある。ドカン風呂に入るのはこれが3回目だ。CHAOではドカン風呂を高く評価しており、いずれも秘湯ベスト10の上位に入っている。私もこの温泉を超秘湯と記録したい。ドッカムタイのポンナムローン温泉に続き、CHAO未発見の秘湯に入浴できた! この感動をどう表現したらいいだろう。

 シェーッ!! タリラリラーンのコニャニャチワ オデカケデスカ レレレノレ
 ポックン ポックンと温泉へ行くベシ ニャロメ!

 秘湯の温泉の源泉はドカン風呂の温泉なのだ。ドカンしかないけど タイの秘湯はこれでいいのだ!!

(この文章を故赤塚不二夫先生に捧げます)

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